食材コラム(大畑亮介)
健康美と食材選び
美しい体づくりは、毎日の食材選びから
健康美のために大切なことは、なんといっても「食」です。
私達の細胞は私達が食べた食物によって日々生まれ変わっています。人間の寿命を決定している25%は遺伝的要因ですが、75%は環境要因ですから、何をどう食べるかということは、美や健康にとってすごく重要なことです。
細胞は毎日生まれ変わっているので、いつからでも取り返しがつきます。今日決意して今日から始めれば大丈夫。今日食べたものがあなたの細胞を作るのです。(大畑亮介)
美と健康の基本となる食べ方ルール 10
より良いものを効果的に食べるための秘訣です。
1. “朝食は生野菜やくだものなどで軽めに!”
夕食のあと、10時間ぶりぐらいに食べるのが、次の日の朝食。英語の「ブレックファスト」とは、fast(断食)をbreak(こわす)という意味です。朝は排泄に適した時間であり、食べものの吸収には向かないので、胃腸にあまり負担をかけない酵素たっぷりのフルーツと少量の生野菜などを食べるのがベスト。すりおろしたりスムージーにしたりすると、体への負担がさらに減り、すべてのエネルギーを排泄に向かわせることができます。秋冬など冷えを感じる時季は、具の少ないみそ汁をプラスしましょう。
2. “生野菜と発酵食品を多く食べよう!”
生の野菜やくだものをはじめ、みそや納豆や漬けものといった発酵食品にも、酵素が豊富に含まれています。酵素はミネラルとたんぱく質でできた物質で、消化や新陳代謝、活性酸素の無害化など、あらゆる生命活動になくてはならないものです。体内でもつくられますが、外から補給することで消化を補助したり、抗酸化力を高めたりします。48℃以上の加熱で変性してしまうものが多いので、野菜の半分は生でとるのがおすすめ。でも加熱調理した野菜にも栄養の吸収がよいなどの利点があるので、半分は加熱野菜も食べてくださいね。
3.“野菜や海藻→たんぱく質→炭水化物の順に食べる”
糖質が体内に一度に多く入ってくると、たんぱく質が糖と結合して「AGE」という物質をつくり出し、たんぱく質でできた血管や筋肉、肌は老化していきます。これを「糖化」と言います。糖化を防ぐためには、食事の最初に野菜や海藻を食べることが有効。野菜や海藻に含まれる食物繊維が、あとからとる糖質の吸収のスピードをゆるめてくれるからです。糖質の多いごはんやパン類は、できるだけ食事の最後に食べるようにすると、ますます糖化が起こりにくくなります。
4.“最初に食べるものには酢をプラス”
糖化を防ぐために、食物繊維にプラスして食事の最初にとりたいのは「酢」です。酢に含まれる酢酸やクエン酸が、小腸で糖質がブドウ糖に分解されるのを妨げ、体への吸収をゆるやかにします。食事のいちばん最初に、大さじ1杯の酢をサラダにかけて食べましょう。酢には、カルシウムや非ヘム鉄の吸収をよくする、疲労物質を分解する、にんじんなどに含まれるビタミンC破壊酵素を無害化する、などの働きがあります。酢のかわりに、ゆずやレモン果汁でもいいですよ。
5.“炭水化物と動物性たんぱく質はとりすぎない”
炭水化物(糖質)は大切なエネルギー源なので、必ずしっかり食べてください。「炭水化物抜きダイエット」をすると、血管の修復能力に悪影響を及ぼすこともわかっています。ただ、糖質は最終的に単糖になります。とりすぎると糖化が起こるだけでなく、かゆみ、痛み、腫れなどにつながる炎症を悪化させると言われているので、食べすぎないようにしましょう。また、動物性たんぱく質と動物性脂肪は腸内悪玉菌の大好物。肉よりは魚にし、食べすぎないことが大切です。
6.“料理に白砂糖とだしの素を使わない”
白砂糖は、ショ糖という二糖類が主成分。腸で悪玉菌のエサになりやすく、分解されずに血中に入ると「シュガークリスタル(結晶)」となって体中をかけめぐり、細菌やウイルスのエサになると言われています。精製された白砂糖やうまみ成分の濃いだしの素などに舌が慣れると、味覚もおかしくなっていきます。料理に白砂糖を使用しないためにも、ミネラル補給のためにも、まずはだしの素や化学調味料をやめ、昆布や煮干しでしっかりだしをとることが大切。甘みはみりんで十分です。
7.“よくかんで食べ、腹八分目でストップ”
口の周りの筋肉がおとろえると顔全体がたるみやすくなるので、食べものをちゃんとかむことは本当に大切です。よくかむことで唾液がしっかり出るので、虫歯になりにくくて消化にもよく、脳も活性化。さらに満腹中枢も働くので、食べすぎを防ぐこともできます。また、あらゆる動物で、摂取カロリーを約30%減らすと寿命が約1.5倍にも延び、見た目も若々しくなることがわかっています。人間の場合は、腹八分目がベストだと言われています。
8.“夕食は寝る3時間前までにすませる”
細胞を修復する成長ホルモンのほとんどは、眠り始めてから最初の3時間に分泌されます。でも、このとき胃に食べものが残っていると熟睡しづらく、成長ホルモンが十分に分泌されません。また、寝ている間は代謝を抑制しているので、このとき消化活動をしていると、食べたものが中性脂肪に作りかえられて太りやすくなります。食べものは3時間あればある程度消化されるので、寝る3時間前には食事をすませ、水分摂取も2時間前までにするのがベストです。
9.“電子レンジ調理はやめる”
電子レンジは、「マイクロ波」と呼ばれる強い電磁波を照射し、食材に含まれる水の分子に1秒間に24億5000万回という激しい摩擦を起こして短時間で加熱します。こうした加熱方法により、周辺の分子構造はかなり破壊され、酸化が進みやすい状態になります。通常の加熱方法より抗酸化物質を失わせやすいという実験結果も報告されている上、いちばん問題なのは自然界にない合成化合物をつくり出す可能性があることです。食品を温めなおすときは、小型の蒸し器を使いましょう。
10.“揚げ油の再利用はしない”
油は、細胞同士の伝達や代謝などにかかわる細胞膜の重要な構成要素であり、各種ホルモンの原料でもあります。そのため、よい油をとることは、健康や美容にとって欠かせません。現在では、ほとんどの油は石油系溶剤と高温加熱で製造されていますが、いちばんよいのは、昔ながらの「圧搾法」で作られた油です。また、酸化している油はできるだけとらないことも大切。せっかくよい油をとっているなら、酸化が進みやすい揚げ油の再利用は避けましょう。